熊鈴日記

はじめたばかりの狩猟のことをメインに、山で生きるさまざまなこと

映画の感想 「FAKE」 監督:森 達也

森達也監督が、事件後の佐村河内守夫妻を追ったドキュメンタリー「FAKE」を観た。

とても気持ち悪い映画だった。それは、結局何が本当なのかははっきり明かされないような作り方に対しての気持ち悪さで、森さんが人間のいやらしさや欺瞞にフォーカスしているから。

 

私には、夫妻の間の愛が確かに感じ取れて、強く心を打たれた。 けれども、再生や更生の物語として観たいのに、一番気持ち悪いところで終わらせる手腕によって、自分の心の底にある欺瞞の澱がぬるっと浮き立つような感覚を覚えた。

 

これはもう、新垣氏サイドの「共犯者」としての続編を作って欲しいと切に願うけれど、これはこれで恐ろしく後味が悪い作品になるに違いないだろう…と思う。真実を突き止めるためのドキュメンタリーではないから、きっとまた気持ち悪い仕掛けをしてくるんだろう。

 

私は誰を信じて生きていこうか…ということ、信じていた人のこと、これから信じたいと思っている人のことを考えた。いま付き合っている(ちょっと微妙なんだけど)人への誠意について考えた。 FAKEは内向的な思考を仕掛けすぎる映画だ。ドキュメンタリーとしてベタもベタ。観て良かった。

 

映画『FAKE』公式サイト|監督:森達也/出演:佐村河内守

(c) bearbell 2013