熊鈴日記

はじめたばかりの狩猟のことをメインに、山で生きるさまざまなこと

こんこんぞうりづくり 2(スゲ刈り)

10月14日(月・祝)麗しい秋晴れの朝、旧六合(くに)村・根広(ねひろ)流「昔ながらのこんこんぞうり作り」の作り方を学ぶワークショップに参加してきた。

主催はNPO法人 浅間・吾妻エコツーリズム協会の赤木さんという方だ。

単なる体験教室ではなく、将来的に吾妻のものづくりを指導できる人材を養成する「ものづくり伝道師 浅間・吾妻塾」の講座の第1弾として、この「ねどふみからやるこんこんぞうりづくり」講座がスタートした。

今後、こんこんぞうり作りを教えるところまで行きたい私にとっては、願ったり敵ったりの講座だ。

今回教えてくれたのは、ねどふみの家でこんこんぞうりを作っているおばあさん達と(バアサマもいた)、世話人の中村義治さん、中村司さん。司さんはえーと、バアサマの親類だったかな…(親戚だらけで訳が分からない)

 

いまでは、根広地区以外のこんこんはPPテープを芯材にして作られている。昔ながらのスゲを使ったこんこんをつくるため、まず芯縄にする「スゲ」という植物を刈るところから講座が始まった。

昔は、湿地に富む野反池からスゲを刈って背負子で背負ってきたそうだが、現在の野反湖は国立公園であるため植物の採集が禁止されている。現在は、世立(よだて)集落のある土地からスゲを分けてもらい、利用している。

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スゲ刈りの仕方

スゲを刈るコツを、おばあさん達に教わる。

 

1.スゲの束を逆手にならないよう左手で掴み、一番根本を刈り取る。根本部分が一番丈夫なので、しっかりと生え際から刈る。

f:id:bearbell:20131014102509j:plain根本が赤いのと白いのがあった。

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2.三掴みほどスゲを刈ったら、両手で掴み、お腹に束の底をトントンとあてモトを揃える。

 

3.ウラ(スゲの葉先のほう。モトと対比して言う)を片手で掴み、バサバサと上下に振る。モトが枯れているスゲや短いスゲをこいて捨て、きれいなものを残す。

 

4.こいたスゲは容量が少なくなる。きれいになったものがひとつかみ貯まったら、両腿の間で挟み。2、3本のスゲでくるっと二回ししてまとめ、からげてからねじり、その端を束の間に挟み込んでとめる。

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5.こうしてまとまったスゲ束をかつげるくらいにまとめ、ウラを刈り取る。ウラは繊維がよわいため、きりとってしまうのだ。

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6.刈ってきたスゲを一束ずつ扇形に広げて2、3日干す。水気がとれたら、モトを縛っていたのをほどいて中側を返し、ウラをまとめて、今度はモト側を干す

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ここまでの工程を半日で行ってきた。

実労働一日、干すのに5、6日、材料を集めるだけでもこんなに手間と時間がかかる。それでもスゲ材を使うことをやめないのは「むしろにすると豆などを干した時の渇きが均一で早い。縄にすれば丈夫。ビニールシートやPPテープを使うとどうもだめだ」とのこと。

自分たちの使う物は自分たちで作るし、それが良い物だからこそ、使い続け作り続けている。決して肩肘を張るわけでもなく、自然にそういうサイクルをこなす生活を続けている。

 

今は継承者がいないと言うけれど、続けられてしかるべき物は誰かが受け継いでいかなければもったいない。簡単ではないと思うが、自分はなるべく続けていきたいと思う。

 

 

(c) bearbell 2013