熊鈴日記

はじめたばかりの狩猟のことをメインに、山で生きるさまざまなこと

つくって食べて熊鍋集会の夜2(夜話編)

熊鍋をつつきながら出た話は、ほとんどが森のことと狩猟のことばかりだった。

その場にいた半数が林業に携わっており、現場や森林管理のこと、森林計画など幅広く精通しているメンバーだったからである。

 

林業に携わる女性から、熊が好んで実を食べに来ている、大きな松ぼっくりを着けるチョウセンゴヨウマツの話を聞いたりしたのが楽しかった。その木の周りを間伐する計画があり、ますます実を食べに来やすくなった熊が、来年太って小熊をもたらすことなどを夢想して楽しんだ。

頭数が増えてクマハギで樹が傷む被害がひどくなる前に、再来年に撃ってみんなで食べよう!などと、熊を育てて、そして恵みをもらうような話に収束していった。

森林管理、頭数調査からつながっていき、最後は「食べる」というところへ向かっていく、この仲間達の発想がたまらなく愛おしいと思える。

 

一般的に現代なら「駆除だ!危険だ!」という方向に向かうのだろう。でも、人と獣は駆除でつながってきたわけじゃない。食べたり、食べられたりしながら、人間も獣もここまで生きてきたのだと思う。人にとっては熊を食べたり、作物を食べられたりだったけれど、熊にとっては人や作物を食べたり、自分を食べられたりなんだから大変だろう。

お互いの領域を侵しあいながら、せめぎ合いながら、それでも人間の立場としては、獣に感謝して美味しくいただいてきた。それは古くからの里山の暮らしに、矛盾していない。

山を愛する視点がある人が林業に携わっていることはとてもありがたいことだ。

そして、山の恵みに感謝できる人と一緒に食べる山肉は、やっぱり一人の食事より百倍美味しかった。

 

せっかくの山肉だから、みんなと食べたい。美味しい物を食べて喜んでもらいたい。それで自分が嬉しいのだから、狩猟民宿をやりたいのだと思う。

自分の地の暮らしに合った仕事をずっとしたいと思っていたから、これは何とか叶えたい夢だ。そういう思いを一層強くした夜になった。

 

機会をくれた仲間と、熊と、熊をくれた猟友会の会長さんに深く感謝します。

 

…猟期前の減量は、これですっっかり水の泡に…なりましたけどね!!

ごちそうさま!

 

(熊鍋集会 完)

(c) bearbell 2013