こんこんぞうりづくり 1
私のバアサマが住む集落、旧六合村の根広地区には、ちょっと珍しい伝統工芸がある。スリッパのような形状をした草履「こんこんぞうり」というものだ。
足の甲部分をかたどるときに、木の型に合わせてこんこんと木槌で叩くのでこういう名前がついたそうだ。
芯縄はわらではなく、スゲという植物を使うのが根広流。とても丈夫で良いぞうりができる。スゲはわらよりもずっと強く、手袋をしていても手が切れるような強い繊維を持つ。それを秋口に刈り取ってから三日干し、川に温泉が湧き出ている尻焼温泉に浸けて踏むと、強くてしなのある材ができあがるのだ。
おばばたちがこんこんを作っているのは知っていても、なかなか作り方は教わらない。平草履は教えてくれたし、編めるけど。地元の人でもこんこんを編める若年者はそういない。
ずっと「こんこん作ってみたい!」と思っていた希望が、実はこの冬にようやく叶いそうで楽しみだ。
スゲ刈りからねどふみ(スゲを尻焼温泉に浸けて踏む作業)、スゲ縄綯いの工程を経て、こんこん草履編みを体験する講座があり、そこに申し込むことができた。
狩猟民宿では、六合の工芸体験もメニューに加えたいので、それまでにこんこんぞうりをマスターしておきたいのである!
私はこんこんぞうりが大好きである。手間暇かけて良い物を作るバアサマたちは凄いし、その良さをもっと自覚して、それをみんなにしっかり伝えることを頑張って欲しかったと思うくらい良い物だと思っている。
使い心地のよさや丈夫さはもちろん、見た目のかわいらしさと素朴さは、日本中の伝統工芸の中でも群を抜いている。なんだかぼろいコタツがけを引き裂いたような布で藁を巻いていて、とてもかわいげがあっていい。
まずは材料調達。スゲを刈り取るところからスタートだ。明後日の朝が楽しみ。
そして、これをきっかけに、次世代へのこんこん継承プッシュを、おばばたちにかけてくるぞ。
写真を交えて報告するので、楽しみに待たれたし。