熊鈴日記

はじめたばかりの狩猟のことをメインに、山で生きるさまざまなこと

かんたんジビエ

今回もらったイノシシでつくった料理の備忘録

 

1.いのスジ煮込み

味噌・醤油・ごま油で味付け。スジ肉は少々のカレー塩で臭み抜き。

濃いめに煮立て、最後におろし生姜を加えて臭み消し。

 

2.リブロースの照り焼き

酒2:醤油1で一晩漬ける。中火でじっくり焼き、照りをだすだけ。

柔らかく、臭み消しの必要がないくらい旨味が引き立っている。

熱燗の友。

 

3.イシシノシシのコーンシチュー

小学生が聞いたら泣き出しそうな名前をつけてしまった。(イシシノシシとは「かいけつゾロリシリーズ」という児童書に出てくるイノシシのキャラクターである)

半日、塩糀で漬けておいたイノシシ肉を一口サイズの小さめに切り、水の段階から根菜と一緒に煮る。酵母による分解作用と、煮立てる時間の長さで、とってもやわらかく食べやすいイノシシチューができる。

全くと言って良いほど肉の臭みがなく、しっかりした味なのにやわらか。さらにシチューで食べやすい味になっているので、子どもにも進めやすいメニューになった。これはジビエのお子様ランチ…いける!

f:id:bearbell:20131023205653j:plain(たべかけのスジ煮とシチュー)

 

まだあと800gくらい肉が残っている。どんな料理にしようか楽しみだ。

 

狩猟刀3(手入れ)

筋膜を剥がすのに使っているスキナーナイフと、調理に用いているナイフを研いだ。

 

まず、砥石に水を吸わせる。水に浸けるとシュワシュワと泡が出るので、それが止まるまでひたしておく。

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まず、粗い方の目で10回から数十回程度、片面ずつ研ぐ。刃を砥石にあて、峰の方は小指一本分くらい浮かす。押すときは力を入れ、引くときは軽く引く。

同じように細かい方の目で10回から数十回程度、片方ずつ研ぐ。

 

研いでいる最中に、砥石が削れてどろどろしたとぎ汁が出るが、これは洗い流さすそのまま研ぐ。

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片面にバリが出てきたら、もう片面を研ぐ。爪に刃をあて、ひっかかりができたら研ぎ上がりだ。

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しっかり切れるナイフでないとケガの元になる。よく切れるナイフにしておけば、誤って浅い傷をつくってもすぐ付く。

道具の手入れはいつでも、ぬかりなく。安全に精肉・調理ができるよう整えておくことが肝心だ。

初体験・イノシシの解体

日曜日の朝、狩猟名人のヤマニさんから電話をもらった。

「今朝イノシシ獲れたが、解体来れるか?すぐばらさねえから」

二つ返事ですぐさま家を飛び出した。今日も美味しいイノシシが食べられる!いよいよバラシができる!そんな期待で胸いっぱいになりながら、雨の中車を走らせる。

 

バラシ場までの移動に1時間かかるため、今回も皮剥には間に合わなかった…。解体からは参加できたので、そこからの工程をメモしておく。

 全ての工程は、二枚のすのこを浅いV字に組んだ作業台の上で、ホースの水で血を洗いながら行われる。

このバラシ場では、まず皮剥ぎから始めている。一般的には臭みを抑えるため、放血やモツ抜きを初めに行ってから皮剥する場合が多いが、ここではすぐ屠りすぐ食べるので、そこまで気にしないようだ。

 

※解体の手順と様子(写真は記事下段に掲載する)

 

皮剥も含め、1時間で終了した。今回のイノシシは左脇に弾が中(あた)ってしまい、腹の中で見事に胃が爆発していた。内容物は殆どがドングリか栗と思われる物で、すりつぶされて胃に収まっていた。10キロポリバケツに山盛りになるほどの量で、今年はいかに山の実が豊富かを表している。えぐみと酸味が混じった臭いが強烈だった。

下あごには青い草もついており、食欲旺盛なこの時期のイノシシの生態を垣間見ることができた。

 

胃の内容物が溢れてしまったのと、腹に受けた傷の汚血で、少し肉にクセがついてしまった。肉質自体は良い物だったので残念だ。若いメスで、ピンク色の良い色をした柔らかい肉、最高だったろうに。ちなみに、年寄りになると肉が黒ずんで固い。

 

今回は解体の補助と、肋骨の間の肉を削ぐのをやらせてもらった。最初は、包丁のように引きながら切っていたが、狩猟刀は押し当てるだけで切れる。

「引かなくても骨に沿って刃を落とすだけで切れるぞ」と教えてくれたヤマニさんは、さすが名人だ。的確なアドバイスをくれた。この人についていって、六合流の狩猟をしっかり教わっておこうと思う。

 

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取れたリブロース。細長い肉が取れる。一頭から取れる量は少ないが、柔らかくて美味しい。

 

無事に解体が終わって得た肉は、帰ってすぐさま筋膜(スジ)を剥がす。一日経つとどうも剥がれにくい。血抜きをしていない分あとから滲んでくるので、良く洗ってキッチンタオルで拭き、ジップロックに入れて低温氷結させる。

こうすると、やわらかく鮮度の高い状態で保存できる。

 

切り取ったスジは捨てず、臭みが集まっているようなところなのでカレー塩で臭みをとり、酒と醤油で下味を付け、牛すじ風味噌煮込みにした。

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冷蔵庫にあったエリンギとパプリカを投入。たいてい何入れても美味しいもの。

 

 

★イノシシ解体の工程★ ~皮剥のあとから~

 

1. イノシシの足先を切り落とす

2. 前足・後ろ足をそれぞれ付け根から切り落とす。刃は脇から入れる。全身の解体をしている間に、別の人が足の肉を削いで分けておく。

3. 頭と胴体だけになったところで、肛門の周りを切り抜き、腸が体から離れるよう処理しておく

4. 一人がイノシシを仰向けに支え、もう一人が肛門近くの腹側から、喉もとに向かって腹を割く。刃は内臓を傷つけないよう天に向ける。

5. 食道をを切り取り、内臓を体から取り去る。一人が頭をもって押さえ、もう一人が下へ向かって内臓を引っ張り出す。このとき、両手をショベルカーのように構えて肺と心臓をしっかり包み込み、上から下へと内臓を引っ張って剥ぐ。抜いたモツは、心臓・肝臓・腎臓を水で洗って取り分けておく。ここは食べられる。

6. モツ抜きができたら、後背部から肉を削いでいく。肋骨を開いた端から刃を入れ、背中へ向かって肉を剥いでいく。一人が肋骨を持って支えていると、背中部分を肉を削ぐときにやりやすい。左右に分けて行う。

7. 頭と胴を切り離す。ほほ肉を取る。

8. 肋骨の間の肉を取る。骨のすぐ横から指して肋骨の先端側に向かって数センチの切れ込みをいれ、そこから骨に沿って刃を下に動かすときれいに削げる。

9. 肉がほとんどとれたので、骨の解体をする。腹側から、背骨の外周に沿って刃を入れる。その切れ目から肋骨を折り取るように外す。左右それぞれ行う。

10.背骨を適当な大きさにぶつ切りにする。

 

解体終了!

 

★写真★

ほとんど食卓に出される肉に近い状態の写真しか載せていません。

 

一人が刃を入れる方と逆の方向に向かって押さえているとスムーズに作業が進む。しかし息が合わないとダメ。私も息を合わせられるようによく見ておく。

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こちらでは別作業で足を切り分けたり、大きく取れた肉を切り分けてくれる。

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綺麗になった骨。出汁がでるのでスープへドボン。水から煮る。うまそ~

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解体の御指南、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

 

 

 

 

六合・暮坂高原の森で木登り体験

皆さんは、木登りはお好きだろうか?

私は大の木登り好きで、運動音痴なくせに、子どもの頃から木登りをするのは好きでよく遊んだ。

8歳の夏、小学校の銀杏に調子に乗って登り、相当高いところまで登った上に、木の股に足を挟んでしまって取れなくなったことがある。あれは辛かった。ナマケモノのように両腕で枝にぶらさがって体を支え続けること半時間…レスキューがきて体を押し上げ足を抜いてくれたっけ…。

大人になっても、木登り好きなのは変わらない。今年の初夏は、初めてツリークライミングを体験し、木に触れる安心感と、高いところをロープで上がっていく気持ちよさを味わった。

 

今回は、浅間・吾妻エコツーリズム協会の主催する「森で遊ぼう!木登り体験」に参加した。ロープワークを駆使して木に直に足を付け、高いところへ登っていく技術を教わる。日赤救急員をしていた清水実さんを招いての講習会となった。イノシシ解体の朝と重なってしまったこともあり、途中からの参加となったが木に登ることはできたので、ファーストジョイニングとしてはまずまず。

ぶり縄(紐とはしご棒をつかっての木登り)や、足場をしっかり作りながら木に登る技術を覚えれば、六合の森を楽しんでもらえるような体験プログラムを自発的にできるだろう。

雨の中で木が滑り、少々大変な思いもしたが、体はまっすぐ上を目指して動く。木に体を預ければ、自分の体重を押し上げることも大変ではない。

実感したのは、木を直接登っていくほうが自分の体運びには合っているな…と思ったところなので、ツリークライミング(木にかけたロープを登る)よりも、こちらを専門にしていきたいと思う。

 

暮坂の森は遊び処がたくさん。急斜面にロープを張り、登りにつかうローピングで上がってくる。

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木にはしごをかけ、足場をつくり、はしごを解いては上に作り…をしながら上を目指す「ぶり縄」

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大人も負けていない。

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おまけ…木のブランコ

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今回の講座から、浅間・吾妻エコツーリズム協会に入会した。

吾妻全域を通じてエコツアーを展開しているこの会だが、入会すれば自分も企画を出してプログラムをつくることも可能。また、様々な取り組みを通じて、エコツアーの方法を勉強することもできるだろう。

狩猟民宿との提携も実現したい。六合での講座は年十回程度開催されていくとのことなので、運営に寄与しながら、自分も六合について深く学び継承していく所存だ。

友人の結婚式

19日の土曜日は、大学時代のゼミの同窓生であるRさんの結婚披露宴二次会に呼んでもらった。

和気藹々とした会になるよう心が配られたその会は、様々な方面から人が大勢集まっているにもかかわらず、誰かが浮くこともなく、新郎新婦の幸せな姿にみんなが心から祝福を送っていた。とても暖かな式だった。

 

久しぶりにゼミの同期とおしゃべりもでき、良い友人に恵まれたことを再確認。

仕事によって過度に自由を奪われた同期3人で「なかなか結婚と言っても、このご時世の若者が強いられている働きづらさ生きづらさではねえ…」という共通認識を確認したところで、それでも、お互いを一番の拠り所として生きていく幸せを掴んだ二人に、心の中で賞賛の拍手を送る。大拍手。

 

3次会では、「汝は人狼なりや?」という卓上議論ゲームで大盛り上がりして5時間近く白熱した駆け引きを繰り広げた。その場の一体感が面白く、初対面の人とも楽しく本気でゲームができた。またやろうね。

 

二人へのお祝いには「10年つかえる」スゲのこんこんぞうりをプレゼントした。

六合や中之条に遊びに来てくれたことがある二人に、是非とも使って欲しい物だったのだ。配色がきれいで、作りのしっかりしたものを選んだ。

二人に「10年使えるから!」と言って渡したときの新郎の返しが忘れられない。

「それなら5組くらいないと足りないよ!」そうですね。一生お幸せに!

記念日ごとに、贈り続けさせていただきます。今度は私がつくった物を。

実際、10年使うとボロボロできったなくなるので、もう少し短いスパンでね。

 

本当におめでとう。よくぞ前進されたと思います。幸せをたくさんお裾分けしてくれてありがとう。

これからも機を見てはお祝いしていこうね。式での二人はとても輝いていたからね。

「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」を読んだ

狩猟に関する読本をアマゾンで漁っていたら、こんなにかわいらしい装丁の本がサジェストされた。文庫本か何かだと思っていたら、なんと実録風狩猟マンガ。

 

「山賊」という言葉と「狩猟」が結びつかず、あまり関係のない本だと思ってリサーチをかけなかったのだが、よく見てみたら資料として非常に価値のあるものだと気がついた。コメントに「この作品は、作者の実体験を元にしたフィクションです。が、狩猟のシーンに関しては、ほぼ事実です」とある。

狩猟免許(わな・第一種銃猟)を持っている作者が自分の経験に基づいて構成したマンガで、現代の狩猟シーンを等身大で描いている。

アマゾンどころか、ゐすずも大推薦。

狩猟の資料は情報が古い物も少なくないので、この現代的で現実的な読み心地は軽快で実に良い。なんといっても、狩猟の醍醐味である「美味しくいただくこと」がしっかり書いてある。臆せず何でも食べてみるところが良い感じだ。カラスとか…ブルーギルとか…。タヌキは断念していたけど、正解だと思う。

 

実猟に出た時に気をつけたい、鳥獣法遵守のポイントも押さえてあるので、これから狩猟を始めたい人にはどんな教則本より分かりやすいだろう。

ぜひ皆さんにも手にとっていただきたい。

 

山賊ダイアリー(2) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(2) (イブニングKC)

 

2巻の表紙がとても可愛いので、これを貼る。 もうすぐ4巻が発売だ!

 

山賊ダイアリー(4) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(4) (イブニングKC)

 

 

 

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(3) (イブニングKC)

 

 

 

山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)

山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)

 

 

 

 

楽しみな土日

この週末は、土曜日から三連休をとっている。

土曜日は、大学時代に世話になったゼミの同窓生の結婚式二次会へ。
めでたい席に呼んでもらったことはとても嬉しいし、たくさんお祝いしたい。大学時代の懐かしく、また、大切な友達に会えるのが楽しみだ。
祝福は何にしようか、もう心に決めている。喜んでくれるといいが。


日曜日は、朝から木登り体験と、午後は笹小屋に雪虫探しに。お天気あやしいけど、ツリークライミングとはまた違った木登りだそうで、とても楽しみだ。ロープワークを使いながら直に木に登るそうなので、紐に登るツリークライミングよりも好きになりそうな予感がしている。

月曜日は、今週一週間で疲れたからだと住まいを調整をするのと、本の返却日だから未読の本をたっぷり読み、夜は空手。

煮詰まったら、少し日常を大事にしてやる。

狩りのことは、待っていても引きがくることが多い。こちらが糸を常に流しているのだから、必ずや良いことがある。

火曜日は、わなを作ってくれる鉄骨屋さんとポッキー姉妹と飲む。そろそろ、設計図に着手したい。

(c) bearbell 2013